色々なご縁があって、このたびからこのコーナーをお借りして、コラムを始めることになりました舟橋と申します。地域活性化やまちづくりについて、皆さんと一緒に考えることの出来るような、コラムを書かせてらおうと思います。皆様よろしくお願いします。
香りの会社が地域活性化のコラムも無いだろうと思われるかもしれませんが、このネイチャーテクノロジーは創業のときから、その立地する岩見沢市の地域活性化、特に産業面での活性化を掲げています。この辺については、別のところで書かせていただいたコラム「CANだけじゃ足りない!地域を生き返らせるには」に書いていますので、同社のことは後日再評価するとして、ここでは少し一般的な話から入っていこうと思います。
■地域活性化あれこれ
当たり前の話なのですが、地域活性化という言葉は、「地域」と「活性」と「化」からなっています。屁理屈をこねれば「地域」というものを「活性」した状態に「化」けさせると言うことです。では、「地域」と言うのは何で、それにおける「活性」とは何か、と言うことを面と向かって問われると、多くの人が「地域=市町村(もしくは都道府県)」で、「活性=経済上の利益」と答える方が多いと思います。
多くの成功事例と呼ばれるものを見て回ると、確かに、その事例が属する「地域(市町村)」の「活性(経済上の利益)」が向上する方向に「化」けています。ところが他方で、特定の産業の発達で、市町村の経済上の利益が向上しているにもかかわらず、防犯の問題や地域コミュニティの崩壊など他に違う問題が発生しているような事例もあります。こういう地域に住まれる方は、決して、自分の地域は活性化している、とは思えないようです。
■事例から考えよう
ちょっとした、地域活性化の事例を紹介しましょう。 北海道の東のほうにかなりマイナーな町で、上湧別町と言う町があります。
このまちのチューリップ公園は知る人ぞ知る公園で、私も家族で見に行ったことがあります。かなり壮大なチューリップ畑の風景が楽しめます。とても辺鄙なところですが、毎年、10万人以上の来場があります。花を基軸にした地域活性化への試みはたくさんありますが、ここの事例はちょっと変わっています。
実は、この町は、一度チューリップで経済活性化を試みて失敗しています。いわゆる、農業の高付加価値化を夢見て、新しい高収益作物としてチューリップに目をつけました。ただ、この町だけが特別と言うわけではなく、富良野のラベンダーや北見のハッカなど、北海道では昔からこういう花やハーブを活用した地域経済活性化の目論見と言うのはものすごく多く、成功失敗は枚挙の暇もありません。
この町のチューリップ生産は、昭和35年から昭和41年まで、延びていたチューリップ市場にのって、成功したかに見えましたが、昭和41年にオランダの球根の値下げをきっかけに輸出がしぼみ、同町での産業としてのチューリップ栽培は終焉を迎えました。
それでも、生産農家を中心にチューリップへの愛着は深く、産業用ではないにせよ、多くの方が、自宅周辺に植えたり、畑の片隅に植え続けていたそうです。
昭和50年には、チューリップを栽培してきた歴史を残そうと、地元の老人クラブなどが中心となって、老人農園(今のチューリップ公園の場所)に、ひっそりと自主的に植え始めたのです。初年度は2アールだったのが、昭和60年ごろには30アールになりましたが、ひたすら、老後の楽しみとチューリップの歴史を残したいという想いだけで続けたのです。ところが、その国道沿いに広がるチューリップ畑は、車で通過する人々の目に留まり、毎年春には多くの人が自然に集まるようになりました。
この状況に町が着目し、昭和60年から町が予算を使い、一気に公園が整備されていきます。昭和63年には、正式な町立の「チューリップ公園」として指定。5月上旬から6月上旬までチューリップフェアも開催され、毎年10万人以上の観光客で賑わう観光地に成長しました。
「なんだ、たった10万人か」というかもしれませんが、ここの人口はたった6000人弱。この基礎人口で、これだけ集めることが出来るのは立派です。ちなみに、6万人の都市なら、100万人の集客に相当します。36万人の都市に対しては600万人の集客。36万人と言えば、旭山動物園のある旭川市に相当します。かの旭山動物園だって、600万人は呼び込みません。
こうしたものの関係性は、人口比だけで語れないにせよ、かなりの集客力のある場を生み出していることはご理解いただけたかと思います。
■本当の活性化、本当の地域
で、この事例から皆さんにちょっと考えて欲しいのです。特に、自分の住んでいる地域の活性化に取り組んでいる皆さんに。
たぶん、売り上げやらなんやらで雇用や税収も生んでいると思います。そういう意味では経済の活性化とも言えます。でも、この大本の老人農園を作った老人たちは、そういうことを考えて公園を作り始めたわけではありません。他方で、状況に注目した町はおそらく、そういうことを計算に入れて投資をしたのだろうと思います。
では、地域活性化という点で見れば町の手柄である、と言えるのでしょうか。それとも、高付加価値作物としてチューリップを導入した人でしょうか。少なくとも経済的な意味合いで地域活性化を狙ったのはこの二者のはずです。
もっと意地悪く言えば、このチューリップの目論見を初めに挫折させた、オランダでしょうか。怪我の功名という側面のあるのですし。それとも、多くの人に愛でられる素質を持ったチューリップという花自身の力だけでしょうか。
この事例には多くの地域活性化のヒントが眠っていると、私は思うのです。と言うまじめな話もいいですけど、純粋に花を愛でに楽しみに言ってみてください。植物テーマパークではきっと日本一ですし。
