2009年4月アーカイブ

 四月になりました。皆さん、入学、進級、入社等々新しい人生の区切りに立ったかと思います。おめでとうございます。ちなみに、エイプリルフール生まれなの私も、歳を一つ取り、加えて、子供の進級、そしてPTAの会長なんぞに挑戦してみることになりました。
 一見、PTAなんて地域活性化に関係ないことのように思われます。しかし、こういった地縁組織と呼ばれる共助の組織は、とても大事なものです。その上、僕のようなよそ者がなかに触れることができる機会も少ないので、このチャンスを生かして、子供にとっていい地域づくりに、当社での研究だけではなく目の前の住んでいる地域での実践として関わっていきたいと思います。ph16_1.jpg


■で、さっそく

 本来でしたら14話の続きをするべきなんでしょうけど、ちょっと地域の安全という話をしたいと思います。災害時の安全・安心に関しては10話でとりあげましたが、日ごろの安全・安心というと防犯のお話になります。
 実は、うちの地域のPTA会長をやると、セットで色々な役職やお仕事がついてきます。「地域のお役セット、大盛りで!」という注文をしてしまったようです。そんななかの一つに、学区の健全育成会の会長というのがあって、そのなかの地域のボランティア運動に「こども見守り隊」というのがあります。当然、わたしも、その中に入っているわけです。とはいえ、この活動そのものは全国ほとんどの学校で今は行われているものでしょうし、これ自体はさほど珍しくないと思います。うちの学区ではこの活動はかなり活発です。にもかかわらず、お役が付くまでサボっていたわたしも威張れたものではありません。 


■地味なれど、地域の安全基盤ph16_2.jpg

 子供の安心・安全というと、昨今ですと兎角、GPSつき携帯の活用ですとか、通学路での防犯カメラの設置という話になりがちです。ところが、それは最も望ましくありません。にいがた県民電子会議室の「安全・安心なまちづくり県民会議室」というものの運営をお手伝いしたときに、専門家として参加いただいた桐蔭横浜大学の河合幹雄教授が、以下のような指摘をされました。

----2005/04/25の河合教授の発言より-------------

ICタグ、携帯電話、などITの活用について

 これは防犯カメラと同じで防犯には、ほぼ役に立たないといえます。皮肉ではなく、お子様の死体の発見が素早くできるだけでしょう。とりわけ携帯電話を持たせていつでも連絡できるからと安心して夜遅くの外出を許すことは最悪の行動パターンと考えられます。
 人と人の直接の熱い交流をサボル方向は、人を救えません。
 理論的説明は略して一例だけあげます。長崎の12歳の少年によって幼児が殺された事件で、商店街の防犯カメラは彼ら二人を鮮明にとらえていたが、結果は幼児の死亡であり、防犯については「大失敗」と理解すべきです。もし、誰か、「知り合い」が商店街で少年を見咎めて声をかけていれば、事件は防げたのではないでしょうか。「知り合い」こそが鍵です。
 ITにたよって知り合いを作らない生き方こそ改めるべきであると考えます。

----安全・安心なまちづくり県民会議室公開のLOG-------------

 ITを生業にしている側面も僕自身はあるので、かなり衝撃的でしたが、このほかにも、説得力のある論点が展開され、僕自身、この会議室を通じて地域の見回り活動や挨拶活動が、地域の安全確保に最も重要な活動だと認識しました。
 要は、声をかけて知り合いを作ったり、不審者を認識したり(不審者に認識されているという自覚を持たせる)する方が、ITでぐうの音も出ない犯罪の証拠をがっちり抑えるよりも、「犯罪を起こさせない」という観点では重要だということです。たしかに、犯人を逮捕するのに便利な道具でも、犯罪を起こすことを防げないんじゃ意味ありませんもんね。


■声かけ運動が作るネットワークの可能性

 そんな理由もあって、積極的に(といってもまだ隊員になって2日目ですけど)活動に参加していたりします。地域防犯として、優れている活動ですので、是非皆様の地域でも、どこかやっているところがあればご参加ください。
 しかも、こうした活動に参加すると、突如としてネットワークが広がります。わたしもわずか二日にして、こどもからご年配の方まで一気に顔見知りが広がりました。12話で紹介したようなSNSなどのITツールで丁寧に知り合いを広げていくのもいいでしょうけど、声かけ運動に参加すると、凄い勢いで地域のネットワークの中に取り込まれます。
 声かけ運動には限らないのでしょうけど、第4話で触れたように、ある面で誰にでもわかる旗印で人を集めているネタであれば、そこに多くの地域の人が集っているはずです。うちの見守り隊であれば「地域の子供を守る」という非常にわかりやすく、共感の得やすいテーマですので、広い層の人が参加してくれています。
 地域活性化の基本が個人の活性化であり、個人の活性化の基本が人のネットワークの質量ともの向上にあるのだから、こうした活動に参加することは、防犯に役にたつだけでなく、地域活性化に遠回りかもしれないけれど、確実に役立つのです。


■地域活性化の活動って

 どうしても、地域活性化の成功事例の表面ばかり見ると、かっこいい戦略ばかり目立ちます。しかし、どっぷりそういう事例の奥につかってみると、その戦略が生まれ形になる基盤となる人的ネットワークがそこに構築されているものです。
 たしかに、スタープレーヤーになった、ヨソモノとか、ワカモノとか、バカモノばかり注目され、そういう人を求めがちになります。でも、大事なのは、そういう人々が活躍できるだけの、地域のネットワークを地域の中に構築しておくことであり、また、そうした構築のなかからこそ、そういうスタープレーヤーが生まれてくるということを忘れてはいけないと思います。
 まずは、地味なれど、地域のちょっとしたお役に立ってみる、というのが地域活性化の第一歩です。新年度で新しい環境に慣れるので大変かもしれませんが、こうしたちょっとした活動を探して、ぜひ参加してみてください。