第23話 コミュニティの中心地ってどこだろう?

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第23話 コミュニティの中心地ってどこだろう?

ph23_01.jpg 11月7日に今年のグッドデザイン賞が発表され、なんと、弊社の本社の立地している岩見沢市の岩見沢複合駅舎が大賞をいただきました。弊社そのものがこの駅舎作りに参画しているわけではないのですが、何せ、人口の多くはない街なので、一緒に市民活動を通じてまちづくりをしている仲間も参画していてとても嬉しい限りです。その仲間たちの一部は、当日の授賞式でやや恥ずかしい格好でTVなどに写っておりました。
 僕個人としては、愛知県という離れた地域に住んではおりますが、当地のNPOの理事でもあり、岩見沢のまちづくりに関わる一員として、大変誇りに思う次第であります。関わっているだけで何もしていないので、威張れるものではないんですけど。

■なぜ、いまさら駅なのか

ph23_02.jpg この駅舎の特徴は、賞をいただいたデザイン性もさることながら、並行して行なわれてきた、その外壁に使われるレンガに思いを託して駅舎作り参画できる「岩見沢レンガプロジェクト」があります。非常に多く(4,777名!)の人が、これに参画することでより駅舎に対しての思い入れを持つことが出来るものです。
  ただ、このモータリゼーション社会で駅舎に力を入れる必要ってあるの、という声も聞こえなくもないような気もします。大体、日本全国で道の駅という奴のほうが注目もされていますし、同じ駅なら岩見沢の国道沿いにでも道の駅を作ったほうが良いという声もあるとは思います。特に、僕の住む愛知県では、近所に新しい道の駅が出来たり、高速のサービスエリアが充実したりしていて、駅になんかほとんど投資していません。

 

 

■もともとの中心地ってどこなのか

 当然、こういう道の駅は大盛況ですし、今、注目されてはいます。通過者を相手に、その落とすお金を当てにするという発想であれば、これでもいいのかもしれません。確かに、鉄路というのも交通手段ですし、それにおける駅の機能として、通過者や観光客での売り上げというのを期待する側面があることも間違えありません。
 しかしながら、本当に駅の機能はそれだけなのでしょうか。ここに北海道、特に岩見沢の特別な事情があると思います。北海道の都市コミュニティの大半が、明治以降鉄路の発達で駅が出来ることによって、駅が起点で地域が構成されてきているという事情があります。小さい頃からそういう風に育ってきた自分にとって、内地の各地の駅の地位の低さにはある意味驚きを隠せなかったりします。実際に、日本のほかの地域において、コミュニティ構築の起点が駅であるということはむしろ稀なので、こういう地域の地域活性化事例と一緒くたに論じてしまうと、その辺を見誤ります。

■真ん中への思いをちゃんと真ん中に集める

ph23_03.jpg 岩見沢に限らず、北海道の内陸開発において、鉄道網が中心となり、その駅周辺に人々が住み生活を始めてきたという特徴があります。そこで、地域づくりにおいて自然なコミュニティ中心としての駅ということを、考えるのは実に合理的な側面があることは否めません。
 特に、岩見沢においては、産炭地への鉄道網の中心地であった場所であり、地域の人の交流の中心であり、産炭地各地の人の生活を支え、癒しを提供する場の玄関口としての駅でした。その駅をどうするかというのは、地域の人々にとって、地域コミュニティの中心をどうするのかという問題に他なりません。この問題解決に、少しでも多くの人が参加できるように工夫された今回の駅作りは、グッドデザイン賞をとったということ以上に、価値のあることであると思います。
 後は、賞をとったというだけではなく、僕の駅、私の駅、という視点で駅を中心としたコミュニティのありようをどう考えるかが、地元のまちづくりで問われるものです。地元の人々の粘り強い市民活動がこれから、この賞を更に地域にいかすことになるでしょう。

■二匹目のドジョウは駅にはない

 当然のことですが、今回のポイントは、駅舎であるということではなく、コミュニティの中心であるということにこそ、価値のあった受賞だと思います。多分、この地域活性化事例の二匹目のドジョウは、もう駅にはないと思います。大切なのは、自分の地域の、本来のコミュニティの中心地にあったものは何なのかを問うことだと思います。そしてその中心地に対し、どのように地域の人がかかわり、それを復権させるのかということに他なりません。それは、社寺仏閣かも知れませんし、田んぼの真ん中の木かもしれません。ひょっとすると、港かもしれません。そういう場所を良く見据えてみればいいのだと思います。
 岩見沢は、その機会をたまたま駅舎の消失という事件によって得ることが出来、更に上手にレンガプロジェクトとして生かしたものです。場所の意味を考えて、そこにあったコトを起こす。これは弊社の立地も含め、とても重要な要素なのです。

 皆さんも、寂れた町並みを単純に悲しむのではなく、自分の子どもの頃の行動様式なんかを思い出しながら、自分にとってのコミュニティの中心地ってのはなんだったのか、よく考えるとその答えは自然と見つかるものだと思います。


2009年度グッドデザイン大賞「岩見沢複合駅舎」
http://www.g-mark.org/archive/2009/best15/09D06001.html