2010年1月アーカイブ

第25話 内貨と外貨と地域と


 いまさらですが、新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。皆さんはどんな新年を迎えたのでしょうか。私は新年早々、北海道に帰省やらクラス会やらで帰っておりました。未来志向な正月というよりは、今年は過去を懐かしむ感じの正月でした。とはいえ、コラムは相変わらず未来志向で書き進ませていただきます。

■内貨と外貨

 昨年末のコラムで、外貨の獲得の話をしましたが、そもそも、外貨ってなんでしょう?国と国の間であれば、日本から見た場合他国の通貨だったり、他国のお金を指します。同じ日本国内で外貨ってのも変な気がします。
 それでも、現実の問題として、一定の経済圏というのは日本国内に存在しますし、その経済圏の間での、好不調で地域間の景気の格差が生じているのも事実です。その地域内でのお金の流通とそのお金そのものを、内貨と呼び、その地域間でのお金の流通やお金そのものを、外貨と呼ぶことにしてお話を進めていきましょう。
 昨年末のグローカルな企業体の大切さをご理解いただくのに、少々まどろっこしいですが、こういう話も重要ですので、お付き合いください。

■たまには内貨を考えましょう

 ついつい、田舎での地域活性化の議論をすると、観光客等を呼び込んでの外貨の獲得の話になりがちです。しかしながら、地域を活性化しようということであれば、実は、外貨獲得が必要条件でも、十分条件でもありません。
 たとえば、多くのコミュニティビジネスといわれるものの大半は、内貨を回して地域の中の手助けをするものですし、殆どの生活でのお金は目の前の人との取引で使われる内貨のはずです。そうすると、最終的には外貨として流通しても、基本は内貨ということになります。ただ、観光や通販のように直接外貨として流れて行くものもあります。
 まぁ、目の前の人との取引ということであれば、先のコラムで書いたように人のつながりの上に流れるのが現金ですので、ある程度の共通性は必要であれ、どの行為がいくらかということに関しては、地域内でコンセンサスが取れていればいいわけです。
 で、ここまで説明しましたが、これがどう地域活性化に関係があるの、という疑問がわいてきたかと思います。

■地域間で物価は違う

 ちなみに、当たり前ですが、アルバイトの時給というのは地域間で違います。もっというと、物の値段もそれぞれ違います。全国一律のファーストフードチェーンなんかでも、価格の地域間格差を認めて導入し始めています。このように、地域で物事の価格が違うということは、当たり前になってます。
 ここで、同じ行為なのに、Aという地域と、Bという地域でその価値が変わるという現象が起こる理由は簡単で、その地域でその行為の価値がその程度と認識されているからに他なりません。変な話、これ自体は、内貨だけで生きていく場合において、なんら問題はありません。なぜなら、相互に価値は納得づくで、その相対的価値も含め、その地域内でのそれぞれの価値がそう位置づけられているということに他なりません。
 ところが、ここでAという地域と、Bという地域でやり取りをする際にちょっとした問題が起きます。
同じ仕事の値段がAが高くて、Bが安い状態だとします。例えば、Aはかぼちゃが100円で流通している社会だとして、Bは50円だとします。一見すると、Bの社会のほうがよさそうですが、Bはカボチャ2個売らないと100円獲得できないのに、Aは1個の労働力で100円獲得できます。外の社会から何かを買う時には、Aの社会に住んだほうが有利といえます。

■高い内貨を維持するために

 安物買いを地域内ですると地域内でのものの値段は下がりますが、収入も減ります。それは、以前のコラムでご紹介したとおりの話です。だったら高く買えばいいのかというと、必ずしもそれは出来ないという話に行き着きます。というのも、無い袖は振れないので、高く買おうとすると借金まみれになるという話になります。そうすると、必然的に地域内にある通貨総量以上には流通しないということになります。
 ちなみに、地域通貨という手法もなくは無いですが、それであっても、きちんと外で価値のあるものに変換する時にそのロスやら、地域内の通貨高が足りないという状況に応じて、高く相手の仕事を買えないという事態はそんなに変わりません。結局は、その地域内にどれだけの通貨がきちんと滞留しているかが重要になります。要は高く買ってあげるためには、地域内により多くの通貨を引っ張ってくることが重要だということです。すなわち外貨をちゃんと引っ張ってこないと、相手の仕事を高く買ってはあげれなくなります。

■内貨の価値の裏づけに外貨の獲得は重要

 そうすると、地域内での仕事の価値は地域人の間のつながりだけで決められますが、地域間を越えた仕事の価値を決めるのには、それだけでは決められないという、やや非人道的な話になります。ここから先は、地域活性化をどう捉えるかということに依存します。が、地域内だけで全てを完結する地域というのはまず無いと思いますので、こうした価値決めを意識する必要があります。
 地域の活性化により金銭的に有利な社会である必要はありません。だけれども、そういう状況下のほうが、余裕をもって地域の活性化にあたることが出来ますし、維持をする上でもより楽になります。地域内での相互の仕事を高く買ってあげるサイクルを作るためには、外から通貨を入れ込んで地域の通貨総量を増やさなければなりません。そうすることによって、労働価値を高めることが出来ます。なので、地域の通貨流通総量を増やす必要はあります。当然、減らさない工夫も必要なんですけど。
 無い袖は振れないということで、諦めるのも手ですし、物価の安さを活用した地域活性化戦術も組めなくは無いですが、やはりある種の労働搾取を伴ってしまうことは否めません。


 で、この前振りが会って、ようやく次回から、グローカルな企業体についてのお話をしたいと思います。年末年始、気候も不安定でお忙しいかと思いますが、お体に気をつけてご自分の地域のために皆さんも頑張ってください。