第26話 グローカル企業を考える。
寒い日が続くなぁと思っていたら、あっという間に2月です。地域の活動であるPTA会長職も終わりが見えたと思ったら、急に会合が頻発して忙しくなってきました。おまけに、色々な本業も年度末進行で、バタバタする日が続きます。そんな中でも、来年度への新しい仕事やらなんやらと入ってきて、このコラムでご紹介できるかなという事例もそれなりにあります。それは別の機会に譲るとして、今回は、前回予告したグローカルな企業のお話を。
■グローカルってなんだ
一般にグローカルって言うと「Think globally, act locally.」というスタンスを、合成した英語で、地球規模で考えながら、自分の地域で活動するということをいいます。まさに昨今話題の環境問題なんかは、まさにそういう感覚で行動すべき問題でしょうし、そうでなくても、フェアトレードにしても、児童労働問題にしても、ひいては国際紛争にしても、意外と手元の問題を適切に解決することで、そうした大きな問題につながっていくし、その解決にもつながっていくというわけです。
そういう意味では、すべからく、理想的な人間像としてはグローカルに生きていったほうがいいとは思います。ま、人間は生きるためについつい目の前のことしか考えなくなるもので、なかなか出来るものではないんでしょうけど、努力ぐらいはしましょう。
■企業をグローカルに定義する
さて、そういう出自のある言葉を使うわけですが、企業たるもの世界規模で考えて、その会社の存在する場所でアクションするなんてのはある意味普通なので、そのままでは何の意味も持ちません。前回の話を踏まえると、内貨の留保額を一定以上に膨らませるためには、企業に求められるのは、地域で活動しているんだけれど、グローバルに稼いでくれる存在というのが重要になります。
もっというと、地域資源などを必須要素として、その地域に根ざして活動する企業であれば尚よろしいわけです。
で、その企業の活動スタイルを、「市場のタイプ」と「商品(サービス)の原料」の二つの軸で切り分けます。市場のタイプは外貨(グローバル)を扱うか内貨(ローカル)を扱うか、原料のタイプは外部調達(グローバル)か地域依存(ローカル)か、になります。
それで定義をすると、企業は4タイプに分けられます。「市場グローバル・原料グローバル」「市場ローカル・原料グローバル」「市場ローカル・原料ローカル」「市場グローバル・原料ローカル」です。
では、内貨の地域留保を増やすのには、どのタイプの企業がもっとも好ましいといえるでしょうか。
■グローカル企業の条件
4タイプをそれぞれ、少し考えて見ましょう。
「市場グローバル・原料グローバル」は文字通りグローバル企業です。世界中どこでも展開できる事業です。IT産業なんかはまさにこれですし、ある種の製造業、流通業もこれでしょう。外貨としてお金が入ってきますが、外貨として原料調達に流れていくタイプです。こうなると、企業の立地はどこでも構いません。
「市場ローカル・原料グローバル」は、おそらく、外食チェーンやスーパーマーケットなんかはこれに該当します。個々のFCの市場は限られた地域内で市場は完結していて、原材料や暖簾代、サービスマニュアルなど、その地域の外から原料(リソース)を調達するものです。リソースの調達時に内貨が外貨として外に流れていく傾向があります。これまた、ある面で立地に関しては縛りがありません。
この二つに関しては、より有利な市場に近い場所に本社が移動する傾向があります。いわば地域に縛られないで経済活動が出来るメリットがある業態ではあります。いわば、上記二つは潜在的なグローバル企業と呼んでも差し支えないでしょう。
「市場ローカル・原料ローカル」これは、いわゆるコミュニティビジネスなんかがあたると思ってください。地域の問題を地域で解決するというのがそれです。また、小さな商店街の個人商店なども、仕入はあるとはいえFC店などと比べると、この傾向が強まります。大きなビジネスにはなりませんが、内貨が外貨になって流出しにくく、地域にしてみるとメリットが大きいものです。ただ、内貨の留保が増えるわけではありません。
■地域にとっての夢の企業
最後に残ったもの「市場グローバル・原料ローカル」。これが、いわゆるグローカル企業です。この企業の特性は、外貨を稼いでかつ原料ローカルなので内貨が流出しないこと。その上、原料がその地域に依存すればするほど、その地域から出て行かないので企業が活躍すればするほど、地域の内貨の留保が増えていくという性質があります。
ところが、日本の企業史において、こういう企業は余り多くはありません。一見、そういう企業に見えたとしても、少し時間がたつと、多くの企業が本社を東京などの大都会に移します。原料調達を多様化させることで、案外あっさりとグローカル企業はグローバル企業になってしまうのです。他方で、ヨーロッパなどでは、意外と本社機能を田舎の創業の地において頑張るところが少なくなく、きちんとグローカル企業として成立しています。
ネイチャーテクノロジーも、ハーブ資源や冷涼で乾燥した気候等の地域資源に依存して起業しています。他方で、取り扱い品目の殆どが都市圏のストレス等を抱えた方々に向けた商品で完全にグローバルな市場が相手です。地域資源の調達活用も、グローバル市場に打ち勝つことも決して容易なことではありませんが、その先には、地域の内貨の留保への貢献や雇用の創出などがあり間接的な形で、地域社会の活性化に貢献できるものであると思われます。
■とはいえ、グローバル企業だけでも
とはいえ、地域に住む人間に必要な諸サービスもあるので、弊社のみが栄えればいいという話ではありません。地域の商店街やまちづくりのNPOなど、いわゆるローカル企業の活躍も大切です。また、同時に、第24話でも書きましたが、グローバルな形で調達されてくるサービスも必要不可欠です。こうした諸サービスをバランスよく、かつ地域に内部留保が適切に残るように意識しながら活動することが重要です。
やはり市民が日常の購買や労働において「Think globally, act locally.」にしていることが、当たり前かもしれませんが地域経済をきちんと形作るということといえると思います。地元のものを地元の人から買う、毎日世界の人が安心できて喜ぶものを作る。案外簡単なことかもしれません。
神頼みでグローカル企業が生まれるのを祈るのではなく、そういう小さな蓄積がグローカル企業を生む素地になるのかもしれません。
